
日比谷花壇が母の日に向けて設けたサイト「母の日コム」の各種サービスの
キャッチフレーズ&リードコピーを手がけた際に、同サイト内の三菱自動車工業の企業ページのコピーも担当した。
[コピー事例(1)]
(株)日比谷花壇
(生花以外の)様々なジャンル別に母の日のおすすめギフトを紹介する
コンテンツにおいて、各ジャンル毎の導入コピーを作成(下記は『スイ
ーツ』のセクション)。
みんな大好き人気のスイーツ
お母さんの一番の好物って、さて何だったでしょうか?
もしもすぐに思い浮かばなくても、甘くて上品なスイーツなら、 きっと
みんな無条件で大好きと言ってくれるはずです。
たとえば上質で安心できる素材を使って丹念に作りあげた、
まるでお母さんの子供の頃にあったような焼き菓子、
母の日のために特別に注文できる華やかさと気品にあふれたケーキ、
あるいは口いっぱいに芳醇な甘みと香りが広がる銘菓。
どれもこれもがお母さんのお気に入りに見えてくる、
そんな個性豊かなスイーツたちを選び抜いて集めました。
暖かな日ざしが注ぐ午後のティータイム。
やわらかな笑顔と語らいのなかで、指先から口へと運ばれる
洗練された甘さ。本物の素材だけが醸し出す風味。
きっとお母さんも、そのおいしさと香しさに
満足してくれるでしょう。母の日に、スイーツを贈る。
今年の母の日は、お母さんに、とろけるような時間を届けてみてはいかがですか。
[コピー事例(2)]
三菱自動車工業(株)
i(アイ)の走行性や乗り心地のよさを、母の日に母娘で母の思い出の地へ
ドライブするという小説風のストーリーを通して表現した。
i(アイ)で愛を、つたえる日。
Mother's Day in i
白い時計台が見える公園の手前を左折すると、母が住む家の屋根が見える。
私はなつかしさにホッとしながらアクセルをゆるめた。
母は、もう門の外に出て笑顔で手を振っていた。
「あら、可愛らしいクルマじゃない」
「お母さん、元気にしてた? さぁ、乗って」
気持ちよく発進したi(アイ)のなかで母は早速おしゃべりを始めた。
「小学校に行くなんて、何年ぶりかしら。楽しみだわ」
母の日に、母の思い出の場所をドライブしながら訪ねるというプランを提案したのは私だ。
「だったら小学校に行きたい」と、すぐにOKの返事が来た。
「洋子、運転うまくなったんじゃない? 家の前の路地なんかキビキビしてたわよ」
i(アイ)に替えてから小回りがきくクルマだな、と自分でも感じていたけど、
ドライブ好きの母にそう言ってもらえると、ちょっとうれしい。
クルマはやがて高速に入った。母のおしゃべりはとまらない。
「お天気がよくてよかったね。このクルマ軽なの?
ずいぶん ゆったりしてるのね」
「そうでしょ、そうでしょ、寝ちゃってもいいよ」
高速は意外に空いていて、ハンドリングはとっても軽やかだった。
座り心地のよさに 「ゆっくり眠れそう」と言っていた母は、結局、なつかしい町並みが見え始める頃まで
おしゃべりし続けた。
高速を降りたあと、思い出をたどりながらの母のナビゲーションは正確だった。
めざす小学校は、インターチェンジから20分くらいの場所にあり、
2人はi(アイ)を校門の脇に停めて校庭に入って行った。
「この校庭でサッカー部も野球部も一緒に練習したのよ。
もっと大きいと思っていたのに、こんな小さかったかなぁ。あっ、そうそう。」
何かを思い出して、母は校舎の方へ歩きだした。玄関脇の花壇の辺りにそれはあった。
花壇を囲むように大きなレリーフが立っていて、パイロットや看護師さんなど、
いろんな職業の人がぎっしりと描かれていた。
「これが私たちの卒業記念、一人ひとりの夢をまとめて一つの世界にしたのよ」
「へぇ〜。ねぇ、お母さんのはどれ?」
ふふっと笑って母が指さした先には、ウエディングドレスを着た花嫁さんがいた。
大学を出てすぐに結婚した母らしいなと思った。
母と私はそんな風に、思い出を一つひとつ探しながら、
ひとしきり小学校のなかを歩いた。
「洋子、お腹すかない? 」
そういえばもう午後の1時近い。それから母は、はっきりと私の方を向いて言った。
「お母さん、行きたいお店があるんだ」
そのお店までは、i(アイ)に乗って5分とかからなかった。
端正な気品のある店構えの日本料理店で、中に入り品書きを持ってきた仲居さんに松花堂弁当を
2つ注文すると、私は早速母に訊ねた。
「お母さん、このお店、なぜ来たかったの?」
母はその質問には答えず、玉砂利が美しい中庭にゆっくりと視線を移した。
運ばれてきた松花堂弁当に箸を運びながら、私は二度、三度と同じ質問をしたが、
結局、母は謎を明かそうとはしなかった。
「あ〜あ、おいしかった。洋子、ヒントはこれね」
そう言って立ち上がった母が差し出したデジカメの画面には、さっき撮ったウエディングドレス
を着た花嫁さんのレリーフがあった。
私たちが支払いを済ませたのに気付いたのか、板場から「ありがとうございます!」と威勢のいい声が響いた。
先に行く母の背中を見ながらお店の戸を閉めた私は、ハッと気付いた。
「えっ? もしかしてあれがお母さんの初恋の人!」
その時、i(アイ)のカップホルダーにこっそりと入れておいたブーケを見つけて、
母が驚きの声をあげた。
「まあ、きれいなお花! 洋子、今日は本当にありがとう」
私は、このお店の謎を帰りのi(アイ)の車内で訊き出そうと思った。
いくら気持ちよくても、しばらくは眠らせない。