「旅紀行
夢紀行。」
どうしたというのか、このコピーライターは。まさか「紀行」の意味を知らなかった、とは言わせない。そもそも旅で起こった出来事や所感を綴った文章である紀行にさらに旅を付けるという失態。小学生の夏休みの宿題のタイトルじゃないんだから。本名・川中紀行より。
●No.444/02.7.31
「ツバメが
来る街は
いい街。」
本日、オフィスの契約更新。何の縁か不動産屋の社長さんは私の実家付近に毎週出かけるという。訪れるマンションにツバメが巣を作っており「多摩川を越えた空気が澄んだ場所でないと巣は作らない」とか。ちなみに私の住む中央林間駅にも巣があるが五反田では見ない。
●No.443/02.7.30
「お勉強させて
頂いていい
ですか?」
本日のきょうの出来事はバスガイド新人奮闘記。この言葉は初仕事で訪れた観光地で新米バスガイドが自ら取材した際の一言。高卒・大卒のフリーター率が高まっている昨今、厳しい研修を重ねる彼女たちは美しかった。舞台となった東都観光の入社案内を9年前制作した。
●No.442/02.7.29
「お陰様で
満室です。」
本日のガイアの夜明けは温泉の勝ち組・負け組のレポート。この言葉の主は評判の温泉の従業員だったが、予約の電話に対してこの応対はないだろう。普通の神経なら「申し訳ございません」だ。マニュアルなのか、口癖でつい、なのか。言葉から本当の心が失われている。
●No.441/02.7.28
「新子。」
今日で46歳になった。威張れる年でもないのでささやかに近所の寿司屋(値段は安いが味は教えたくないほど美味)へ妻と。旬の新子(こはだ、なかずみ、このしろと名が変わる出世魚)を一貫2枚付で食す。鰺に岩がき、穴子と、やっぱり旬の魚介はフレンチより寿司。
●No.440/02.7.27
「And you?」
先日、私が「How are yoy?」に答えた後ですぐ質問をし始めたら、アメリカ人の英会話教師に相手の様子をこのように尋ねないのは失礼だと言われた。ハッとして「そう言えば、日本人は聞き返さないことが多い」と答えたが、実際は日米共通の悪しき傾向らしい。
●No.439/02.7.26
「nappa
cabbage。」
週刊ST(JULY 26)はカリフォルニアのスーパーで日本語のまま売られている果物・野菜を紹介。この言葉は白菜=菜っぱ。富士りんごはFuji、大根はdaikon
radishだそうだ。だからと言って新しい言葉って、認知度にバラツキがあるから要注意だ。
●No.438/02.7.25
「タマヨさんは
蛸をむつむつ
噛んだ。」
某誌で癒し系などと書かれた江國香織も嫌いではないが、川上弘美の文体にこそ真に癒しの感覚は宿る。こんな表現(短編集「おめでとう」より)もそうだが、ありふれた日常で語られる他愛ない二人の会話に立ち上らせるとてつもなくやわらかな感触はこの人ならではだ。
●No.437/02.7.24
「捨てなければ
いけないのは
余計な
プライド。」
本日のニュース23・ニッポン元気印で元スチュワーデスの34歳になる起業家が言った言葉。その通り! カッコつけても他人が借金肩代わりしてくれる訳でもないし、倒産した時も助けてくれないし。この方、本年度黒字2千万円。見習わなければならないのは私の方だ。
●No.436/02.7.23
「海の魚は
かはいさう。」
で始まり終わる金子みすゞの詩が「自分の命を支えてくれる動植物に感謝しよう」という趣旨で公立校の道徳教育に使用と朝日新聞本日夕刊。(ここでは紹介できないが)この詩って本当にそういう意味か? 読解力を要する内容は今の教育界の実力なら扱わない方が無難だ。
●No.435/02.7.22
「すいません
じゃ、
すまない
ですよ。
こんな面白い
ところ。」
4回表広島、一死一・二塁、4番金本の場面で放送終了になる前に解説の東尾修氏が言った言葉。2時試合開始で1時間半もたたぬ内に終りなのだからテレビ朝日はプロ野球ファンをなめてる。言い訳は想像できるが、東尾さん、きっと試合前から憤慨してたんじゃないか。
●No.434/02.7.21
「エスプレッソ
王子。」
遅ればせながらシティボーイズのパパ・センプリチータ公演(WOWOW)を観る。これは斉木しげる扮するキャラクター名で白煙を吐きつつエスプレッソをサービスする。きたろう演じる不幸に吸い寄せられるマグネットマンといい、ライブ以外に成立しない構成が圧巻。
●No.433/02.7.20
「究極の
モバイル。」
先日、あるWeb制作会社の社長とPDAの話になった。私はNTT東日本の某機種を買ったが、やはり携帯するには重くなかなか使いこなしていない。胸ポケットから超小型の手帳を出して「もっぱらコレです」と照れると「手帳より優れたPDAはない」と言われ安心。
●No.432/02.7.19
「個別路線の
データは
ない。」
と道路公団の藤井治芳総裁(日本経済新聞本日朝刊)。「全路線で収支をまかなうプール制をとっている」という理由らしいが、個別路線毎の採算計画から始まる道路建設なのに何たる言い草。社会人の言葉とも思えない非常識さを許していた国土交通省はどう考えるのか。
●No.431/02.7.18
「早川義夫。」
SPA!(7.23号)に伝説のフォーク歌手であるこの人初の2枚組ライブCDの紹介。もう15年以上も昔、氏経営の川崎市の書店(今もあるのかな?)の同人誌に書評を載せていた頃、レジで何度かお会いし話を交わし原稿を手渡ししていた。実に穏やかな人だった。
●No.430/02.7.17
「夏バテ。」
の文字が踊る季節になった。サンデー毎日(7.28号)で謝氏は「手のひらを腹に当て腹の温度が熱く感じる時には夏バテ」とアドバイス。同誌はうなぎ・焼き肉が夏バテ予防人気メニューと紹介するが、疲労回復の効あるのは実は肉より旬の魚。安易な暴飲暴食は禁物。
●No.429/02.7.16
「初舞台。」
アエラ(7.22号)に死語にしたくない日本語特集。著名人が大切にしている日本語を紹介しているのだが、桂歌丸師の経歴中のこの言葉はいただけない。噺家の場合「初高座」が正解。これ自体死語かもしれぬが、死語の実態を書き手自ら証明して見せたようなものだ。
●No.428/02.7.15
「パッション
フルーツの
パルフェ。」
日曜日なのにわざわざ五反田まで出かけ「ヌキテパ」ランチコースを食す。ちょうどいま発売のFlauのエッセイでも取りあげられているこの有名店は肉料理なしのフレンチ。自慢の魚料理もいけたけど(生クリームを使ったアイスクリーム風デザート)パルフェが最高。
●No.427/02.7.14
「人間商売
やめ
ちゃいな。」
本日のメレンゲの気持ちに出演の大泉の母・木下多恵子さんが占いのお客様に言った言葉。「30分歩いて3つの発見ができなきゃ」の後で。私も占い好きで否定はしないが、こう言われても多くの女の子達には意味が通じないのでは。想像力の枯渇が著しい世の中だから。
●No.426/02.7.13
「五反田に
しては。」
グルメ関連の人気サイト・レストランガイドで五反田を見ると「五反田にはない」や「五反田にはもったいない」という言葉が並ぶ。「全国の皆さん!
東京に来たらぜひ五反田へ」とまでは言えない観光資源貧しい地だが、再開発から取り残されたひたむきさが私は好きだ。
●No.425/02.7.12
「肉食恐竜は
転び
やすかった。」
朝日新聞本日夕刊に恐竜博絡みの記事。肉食恐竜であるアロサウルスの95%骨格化石に多数の骨折跡があったことから「肋骨の骨折は前脚が短くて受け身が下手だったせいかもしれない」と真鍋国立科学博物館主任研究員。かわいそうだけど、おかしなエピソードだった。
●No.424/02.7.11
「ワイン
選び方は。」
と本日のはなまるマーケットの海保アナ。格助詞の「の」が抜けたのだがそのまま話し続けた。言い間違えた場合に、いまの民放各局はアナウンサーに言い直す指導をしていないのだろうか。それともナレーション原稿を気づかず読んでしまったのか。どちらも失望するが。
●No.423/02.7.10
「はじめに自衛隊
の活動
ありき。」
という法案は廃案に、などと野中元幹事長が講演で述べたと本日の日本経済新聞朝刊。今の政治家にも外務省にも期待できないのが恐ろしいが、有事の前の平和外交あっての有事法制関連法案は当然のことだ。なのにこの言葉は何だ?
ボケ発言が毎日出てくる政界って何だ?
●No.422/02.7.9
「ハイ
ヌミカゼ。」
ご存知、元ちとせ1stアルバムのタイトル。奄美大島の言葉で南風の意味らしいが、感じが出てる。小学校の全校生徒4人で全員親戚と聞くが、妻の女友達がこの島出身でその同級生の妹が彼女だという。関係ないけど島の言葉で「こんにちは」は「うがみしょうらん」。
●No.421/02.7.8
「家を出た
まま帰り
ません。」
という大和警察署からのアナウンスが二日間続いて付近に響いた。言うまでもなく徘徊する老人の捜索なのだが、胸が痛い。最近この種のアナウンスが頻発している。見つからない原因に他人に対する都会人の無関心が潜んでいるのだとしたら、介護と都市の二重の問題だ。
●No.420/02.7.7
「頭弱く
なっちゃった
んじゃない?」
本日午前零時過ぎのニュース23は夏休み映画特集。これはインドの作品に首を傾げてよく分からないという筑紫哲也氏に対しておすぎが言った言葉。こんなことを言えるのもおすぎならではだが、筑紫氏はともかく、老いによる理解力の枯渇を自覚できないと老害になる。
●No.419/02.7.6
「サービス業
というのは、
人が好き
でないと
成り立た
ない。」
日経広告手帖7の石川史郎氏の言葉。ちょうど今日取材したペット総合サービス業の社長も「獣医が長く続かないのは飼い主とうまくいかないから」と言っていた。心の病に罹る新入社員の数は確実に増加しているという。総合的な学習の時間の前に考えるべきことがある。
●No.418/02.7.5
「イチローが
首位打者に
立っている。」
「打率首位に立っている」だろう。首位打者は最終的なタイトルを示す言葉で、使うなら「現時点で首位打者」だ(本日のスパポラ)。これを単なる言い間違いと私は思わない。日本語は乱れているのでなく崩れているのである。いつか言語としての機能も失う気さえする。
●No.417/02.7.4
「あ〜ぁ、
だぁ〜
るぅ〜。」
なんて言葉は私たちの子供の頃は使わなかった。面倒な事を「かったるい」と言うことはあっても。今夜の通勤路で出会った10代前半らしき少女は、いかにもだるそうにそう言い放った。電車内に座り込む若者に自律神経の乱れを感じる私には少なくともそう感じられた。
●No.416/02.7.3
「F&F。」
許す(Forgive)と忘れる(Forget)。経営者会報・付録によると英語の諺で最も短いものだという。「笑顔を絶やさず、相手の言うことを真剣に聞こうと努力する。」じっくりと若手の話を聞くことが経営者に必要と説く。そうした機会を増やしたいと思う。
●No.415/02.7.2
「修正せぬ。」
(朝日新聞本日夕刊)などと偉そうに言わないでほしい。小泉首相はあたかも郵政関連4法案でお得意の「全く変わらない」をアピールしたいらしいが、ヤマト運輸も辞退した郵便事業の民間参入障壁に異を唱えずして何が改革だ。10月の補選惨敗前に早く解散すべきだ。
●No.414/02.7.1
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