「わきの下
ビジネス。」
小田急線で聞いたOLの会話から。いまや“わきの下”は、脱毛・制汗はもちろん美白までが商品になっていると言う。「肌を整える海藻エキスを配合したほか、緑茶エキスも加え透明感のある肌を保つ効果もある」はわきの下の黒ずみ防止の某商品のコピー。必要?これ。
●No.146/01.5.31
「ファス
ティング
。」
28日発売のサンデー毎日でFasting=断食を紹介している。あの小川直也も135Lを105Lまで絞り込んだという。3日間を80種の野草野菜を発酵させたジュース3本と水だけで暮らす。プルサーマルを言う前に我々の飽食の暮らしを見過ごしてはいないか。
●No.145/01.5.30
「愚痴じゃ
ないけど
。」
と言い始めたら、たいてい愚痴だ。「オレの言うこと、間違ってるか?」と聞くヤツは、たいてい間違っている。「5分で終わる」打合せは、たいてい30分以上かかる。「ここで3つの課題を指摘したい」と勿体ぶる時は、たいてい3つ以上の課題を指摘するはめになる。
●No.144/01.5.29
「温泉
まんじゅう
にイチゴと
クリームを
載せて
ショート
ケーキ。」
と言うのが民主党、なる某大学教授の言葉を朝日新聞本日朝刊で紹介。同紙の天野祐吉氏によるCM評では自民党CMが高評価で、小泉首相登場以来、逆風下の民主党だが、橋本派を核とする自民党体質との比較広告はできるはずだ。ちなみにこの「載せて」は記者の誤字。
●No.143/01.5.26
「バタバタ
する。」
忙しさを表すために人はよくこの言葉を使うが、混乱している印象を含むので私は決して使わない。ただ、今週は平均睡眠時間4時間弱でさすがの私も体力消耗しており能率が悪い気がする。本欄も1週間ぶりだ。「なるべく毎日」なる謳い文句を掲げながら、実に恥しい。
●No.142/01.5.25
「課題は
新聞にある
。」
新聞記事を見て新規顧客に連絡を取り仕事にしてしまう広告会社営業マンの逸話があるが、敬愛するかつての上司の成功談を今日聞く。この言は「新聞に掲載された企業の課題はそのまま広告会社の攻め手になる」の意である。その攻め手を任された私は制作者冥利である。
●No.141/01.5.18
「言いたい
事を言って
しまうほう
なんです
。」
馴染みの居酒屋での典型的サラリーマン会話の連続に驚く。組織・幹部批判の言い回しはパッケージにして他社に送りたいほど。この言葉も、自らをあたかも反体制的な位置に見せる常套句だが、その当人はまるで幇間のように隣席の上司の気に入る言葉を吐き続けていた。
●No.140/01.5.17
「何も考えん
方がええ
。」
83歳になる叔父は現役の時計職人で、60年近く1日中正座し仕事をしてきた。酒・煙草をたしなみ、「何も考えぬ」健康法で、足腰・耳・目・歯・頭脳に至るまで悪い所なく、頭髪ふさふさ。最近、足をくじいたが「焼かんと(火葬しないと)治らん」と言って笑った。
●No.139/01.5.16
「恋に仕事に
おしゃれに
弾ける。」
12日創刊BAILAの広告を見て本誌を見て、極端に普通な言葉の選定に愕然とした。目指そう!輝く白い肌。笑顔美人はリップメイクが決め手。BAILAガールはお仕事ガール。これら陳腐でシンプルな表現は読者の日本語下手を見越してか、優秀なライター不足か。
●No.138/01.5.15
「七五三の
時の棒。」
山手線で聞いたOLの会話。これは虫歯がないのを自慢していた方が甘い物の例として言った。もちろん千歳飴のことだ。彼女は「裏から出てくるヘンな歯」(親不知)とも宣った。日本語は廃れ、こんなひと昔前の漫才師のギャグの如き会話が幅をきかせている恐ろしさ。
●No.137/01.5.14
「技術の前
には、
上司も
部下も
ない。」
昨夜のプロジェクトXはスバル360の開発秘話。何と言ってもこの時代の技術者達のカリスマ性には恐れ入る。サラリーマン然とした態度からは程遠く、ひたすら完成を夢見て自信たっぷりに上司に告げる、百瀬氏の格好よさ。こんな台詞も昭和30年代にはよく似合う。
●No.136/01.5.9
「日本語の
化学。」
日経エンタテインメント6月号で「日本語の化学」なる本を紹介。言葉は物質のように変化するのが当たり前だから化学だという。確かにそうだが、同書は語尾上げ言葉やじゃないですか口調も擁護しているのだろうか。言語能力の衰退による変化もあると筆者は考えるが。
●No.135/01.5.7
「夕焼けって
きれい
だね。」
昨夜のにっぽん夕焼け小焼けで野坂昭如は、母は子に夕焼けの美しさを教えてほしいと語った。西の空に手を合わせる意味や自然の驚異について話しかけてほしいと願った。迷走する学校教育も無論だが、母が子に与える言葉と食べ物こそ最も深刻な人間の問題だと憂える。
●No.134/01.5.6
「追っかけ
。」
馴染みの寿司屋で食したアジは、その日に(相模湾で)獲れたいわゆる「追っかけ」。新鮮なるが故に死後硬直していないため、身は寧ろやわらか。あのコリコリとした歯触りが、実は真の新鮮さではないことに素直に頷けなかった。アジの漁獲高が減少気味なのは寂しい。
●No.133/01.5.4
「地べたを
這いつく
ばる気持ち
。」
昨夜のダイエー瀬戸際の改革(再)は、激変する流通業界の内幕を実にあからさまに見せた。出店を請うたユニクロの売上げに遠く及ばぬ自社ブランドの成績を前に、それでも「変わらねば」の必死の思い。最後に副社長から出たこの言葉は、しかし迷いの裏返しでもある。
●No.132/01.5.2
「でしょ。」
本日のはなまるマーケット・デパ地下特集で中村孝明店の売場担当者が「デパートは料理人にとって大切な職場でしょ」といきなり言った。確かにそうかもしれぬが、一般認識ではない。日本語が下手というより“じゃないですか言葉”の新用法ではないかと、私は恐れる。
●No.131/01.5.1 |