最終更新日2002年9月分



「“爬虫類”
 と化した
 子供たち。」

なる特集がサンデー毎日(10.13号)に。幼児期より冷暖房の効いた快適な環境で育った子供達は、昔と比較して体温が低く冷え症気味で、1日の体温変化が激しく爬虫類化しているという内容。高校生の7割、中学生の8割が自律神経に不調とか。どうすりゃいいの?
●No.505/02.9.30







「スロー
 ライフ。」

なる題で落語作家のくまざわあかね氏が自身の“1カ月限定昭和10年の生活”体験を綴っている(朝日新聞本日朝刊)。スローフードが話題に上る度に「食だけちゃんとしてもなぁ」と合点がいかなかった私には新鮮。生活水準から論じないと原発批判も成立しないのだ。
●No.504/02.9.29







「目から
 鱗が
 飛び出た。」

と、本日の王様のブランチで白石美帆が言った。最早、驚くには値しない。アナウンサーが満足に日本語をしゃべれない今、むしろ「目から鱗」まで言えたという事実が驚きなのかもしれない。もう日本語は何でもありなのだ。まぁ、日本人も何でもありだからいいわけだ。
●No.503/02.9.28







「気紛れは
 きっと
 一番正直。」

本日のBS・フォーク大集合で尾崎亜美が「泣きたいような気分で」を唄う。寺山修司作詞の「戦争は知らない」に私は涙する。昔父が言った「最近の歌は分からない」を口にする私の心にしみ込む言葉のしずく。古いと言われようと、浜崎あゆみの詞は薄っぺらだと思う。
●No.502/02.9.27







「結局のところ
 この世界では、
 高くて丈夫な
 柵をつくる
 人間が有効に
 生き残る
 んだ。」

「海辺のカフカ」下巻からの一節。甲村記念図書館でのカフカの上司・大島さんが呟く一言。「ジャン・ジャック・ルソーは人類が柵をつくるようになったときに文明が生まれたと定義している」とも。確かに人は柵を作る。現代の問題はその柵が複雑化してしまった点か。
●No.501/02.9.26







「日本の
 財産の
 ような人。」

と、サンデー毎日(10.6号)が東京・北品川の下駄屋「丸屋」の女将を紹介。この店で生まれ、婿を取り看取り、子を育て、いまだ現役。ご亭主の死去後、3年間一日も欠かさず墓参したという。「人生は我慢かなあ。お互い様にね。」ならば現代の日本に人生はない。
●No.500/02.9.25







「頼もしい
 仲間です。」

今年のオープン戦初戦。いきなりのベストメンバーで臨んだ原辰徳に対して漠然と抱いた頼もしさは間違いではなかった。私は“原辰徳批判”をマスコミ特有のくだらぬ横並び意識の一つとして位置付けている。こんな言葉が言える監督がいま何人いるか。優勝おめでとう!
●No.499/02.9.24







「算数の学力
 大幅ダウン。」

なるヘッドラインが朝日新聞本日朝刊トップに。「学力低下の証拠がない」などと言っていた“ミスター文科省”寺脇研氏は何と釈明するだろう。予備校が補習を受け持つビジネスが公然と行われる状況にしたのはあなた達だ。日本の教育をどうしてくれるのだ。情けない。
●No.498/02.9.23







「ムシューハ用
 メモリアル
 スタンド。」

某仏壇メーカーの車額広告。もちろん「無宗派」なのだろうが、新鮮さを出そうとしたにしてもこの言葉はないだろう。既に宗派を尊重しないことは、感覚的にはカタカナなのかもしれないが、10代の雑誌に見られる風潮が通常の広告にまで波及してきたようで気になる。
●No.497/02.9.22







「情の原
 理の井原。」

とプロ野球日本シリーズで対決する両監督を表した週刊ポスト(10.4号)。原監督の戦術が「お坊っちゃま野球」かどうかはともかく、この比較は成果主義・能力主義が幅を利かせる昨今の組織論と重なる。そうした視点で特集を組む雑誌が出ると予想しているのだが。
●No.496/02.9.21







「自民党は
 日本社会
 そのもの。」

と亀井静香自民党前政調会長(朝日新聞本日朝刊)。自民党の嘘つきと曖昧さと無責任は、昨今の日本社会を見ていると頷けないでもない。しかし「(だから野党は)日本的でないものを示さざるをえなくなる」というのは違う。悪習慣は、なくしていかなければならない。
●No.495/02.9.20







「30分後に
 電話する。」

最近、電車内でかかってきた携帯電話にこう答える人が増えてきた。降りてからかける旨を伝えているわけだが、こう答えてもかけた相手が話し出す場合がある。携帯電話のマナーは、かける方にも必要だ。車内から家族に「あと10分で着く」とかけるのはやめてほしい。
●No.494/02.9.19







「机を蹴って
 帰る。」

そうすればよかったのかと小泉首相。これを開き直りと言う。8人の死亡理由に矛盾がある以上、その点を衝くのが交渉というものであろう。何も喧嘩しろと言うのではない。しかし記者も記者だ。進展があったかどうかなど尋ねてどうする。頭が悪すぎる記者が多すぎる。
●No.493/02.9.18







「正常化
 交渉の場で
 議論して
 いきたい。」

とだけ述べ8人の死に何も触れることなく国交正常化交渉に踏み切った小泉首相。この人に外交をまかせてはいけない(つまりは外務省に)。「それでは日本国民の了解は得られない」となぜ言えなかったのか。「拉致」の言葉も引き出せずに補償は盛り込む。全く呆れる。
●No.492/02.9.17








「不良債権
 の処理を加速
 させたい。」

と、これまでと同じ台詞をブッシュ大統領に伝えた小泉首相に異を唱えた朝日新聞本日朝刊。しかも帰国後の記者会見で「不良債権処理は確実に進んでいる」と、またしてもお得意の台詞を口走った。この期に及んでまだ「具体策は金融相が考える」のだから、全く呆れる。
●No.491/02.9.16







「本当に
 価値のある
 研究は発明と
 同じ。」
本日の情熱大陸は「声に出して読みたい日本語」の斎藤孝氏。「全ての教科に九九を作る」と言うように“原理・原則”の発見を目指しているらしい。同年代で同じ静岡県出身。教育論でも脚光を浴びるが、その氏にしてお手上げの日本の中学生って、一体何者なのだろう。
●No.490/02.9.15







「経営者は
 何でこんなに
 意気地がない
 んだろう。」
朝日新聞本日朝刊に久保利英明・第二東京弁護士会長のこの言葉。大企業のM&Aなどを手がける名物弁護士の実感だ。「リーダーの劣化とヒラの怠慢」が日本経済をダメにしていると言う。実際にそう感じることもあるし逆の感想を抱くこともあるが、楽観だけは禁物だ。
●No.489/02.9.14







「カラスと
 呼ばれる
 少年。」
村上春樹待望の長編「海辺のカフカ」冒頭の小見出し。いかにも、である。小説だからもちろんフィクションなのだが、単なる現実のフィクションではない感覚が彼ならでは。処女作(79年)を翌年に卒論で取り上げた私のような人間には、とりわけ感慨深い作家である。
●No.488/02.9.13







「本日オープン
 になって
 おります。」
本日、JR新橋駅・銀座口から日本橋方面に少し歩いた路上で、この声を聞いた。若い女性なのだから、いやそうでなくても「本日オープンです」と明快に言うべきではないか。この言葉も巷に増殖する“似非丁寧語”の悪しき実例の一つである。言葉に血が通っていない。
●No.487/02.9.12







「数多くの
 課題が
 生まれた。」
本日のニュースJAPANで田代アナは2001年9月11日以降の1年をこう表した。確かにそうだ。課題は生まれ続ける。そして間違いなくこの地球社会は、その課題を増やし続けていくだろう。政治家には権力欲も必要なのだろうが、やはり知性がこれからは欲しい。
●No.486/02.9.11







「ビッグ。」
朝日新聞本日夕刊によると、新小結・高見盛が親方からよく言われる言葉であり、逮捕されたジー・コスモス・ジャパンの大神源太が目標としていた言葉でもあるという。“ビッグ”を目指すこと自体はもちろん善だ。問題は単に頂点に立つ姿を目指す愚を犯さないことだ。
●No.485/02.9.10







「新老人。」
本日発売のサンデー毎日でこの言葉を紹介。89歳の現役医師で「生きかた上手」がベストセラーになった日野原聖路加国際病院理事長は、75歳以上で心身共に健康な人をこう名付けているという。10代と70代の身体を比べたら、どっちが健康なのかと真面目に疑う。
●No.484/02.9.9







「笑止!」
ご存じ「ピンポン」を遅ればせながら。この台詞は高校総体予選決勝(明らかに神奈川県なのに名前は出ない)でドラゴンがペコに放つ一言。シーンも台詞も殆ど松本大洋の原作をなぞっていた。CGは確かに唸らせるが、脚本は原作を見ていない人には浅くて辛いのでは。
●No.483/02.9.8







「最近の
 若い人は
 そう長生き
 できない。」

本日のリアルタイムに石原慎太郎都知事。この言葉の理由は、粗食ができず添加物いっぱいのファーストフードを食べているから。私も同感で、これを単なる毒舌と聞き流していたら骨も皮膚も内臓も精神も病んでいく。しかしそれを止める者は誰もいない。それが現代だ。
●No.482/02.9.7







「北林谷栄。」
日経エンタテインメント(10月号)で「阿弥陀堂だより」(小泉堯史監督)を紹介。91歳の現役女優であるこの人の名を久しぶりで見た。私が子供の頃からお婆ちゃん役を演じていた人。「演技していた年寄りと本当の年寄りが化学反応」とは、同誌コラムの松本人志。
●No.481/02.9.6







「分かり
 やすいし、
 演奏
 しやすい。」

本日のはなまるマーケットは、小沢征爾氏がプロデュースする斉藤記念フェスティバル(松本市)の模様。この言葉は氏の指揮で演奏した小学生の感想。当たり前なのかもしれぬが、世界的な指揮者はレベルを問わないということか。「常に勉強」という氏の言葉もすごい。
●No.480/02.9.5







「カラン
 ダッシュ。」

洋服も鞄も食べ物も、およそブランドという物に無関心(買うことはある)な私の数少ない愛着の品がこのシャープペンシル。今日、10年以上使っていた物を買い換えた。ロシア語で「鉛筆」の意。その言葉の響きも好きなのだが、重みがあり手に馴染む書き心地がいい。
●No.479/02.9.4







「実にほれぼれ
 するような、
 含みのある
 柔らかい
 いい女。」

と還暦の同級生達を表した曽野綾子氏(朝日新聞本日夕刊)。「居眠りばかりしていた」女の子達が「分を知って、お金でも体力でも時間でも、食事の量でも決めている」慎み深い女性に変わっていた。「時が彼女たちを教育」とあるが現代の「時」にそんな力は最早ない。
●No.478/02.9.3







「顧客満足を
 重視した
 経営。」

を目指すと本日、釈明会見の藤井良清・日本ハム社長。この会社の広報部または広報をサポートしている会社は素人なのか。「顧客満足」などと広告でさえ恥しい言葉を、
こともあろうに釈明会見で口にするなど、心の底からの陳謝でないことを証明しているようなものだ。
●No.477/02.9.2







「しけもく
 吸いながら
 徹夜して
 並んでいる
 ような連中は
 ブランド
 物なんか
 買えない。」

と、ある著名スタイリストが語ったことがある。言うまでもなく欧州社会ではブランド物の商品を身に付けるにはそれなりのステイタスが求められる。本日開店のルイ・ヴィトン原宿店、「若者をターゲットに」なるNHKニュースの解説自体が日本のおかしさを象徴する。
●No.476/02.9.1


※川中紀行のブログ「いいコトバ」もぜひご覧ください。

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