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「スタッフの勝手な近況」から(5)

マンスリー広告批評〈02.3月〉

今 年から心を入れ替えて“マンスリー”の名の通り更新すると宣言しながら、この体たらく。いろいろ準備中なのでありますが、3月分は恒例の「スタッフの勝手 な近況から」第5弾をお届けします。去年の11月掲載分もあり、いささか古い話題ですが、いま読み返してみると現在を予言? している文章もあり、というのは少しオーバーですが、JRAのCMへの賛辞とみずほフィナンシャルグループのCMへの批判がそれ。JRAの3歳クラシック の観客動員は今年好調ですし、みずほ銀行の悲惨な状況はご承知の通り。CMから占う企業像もなかなか捨てたもんじゃありません。そんなことを考えながら、 どうぞご覧くださいませ。(2002.4.17)

(11月9日)
●たまたまだが、今日、同じようなお話を2社から頂いた。「情報発信する際の用語が、発注する側あるいは受注する側が変わることにより不統一になってい る。これを受注するコピーライターを一人にする(あるいはルールを作成する)ことで統一したい」という趣旨で、内1社は主として販促のコピーだが一度打合 わせをする予定になった。業界誌でもBI(Brand Identity)の話題で持ちきりだが、主としてVI(Visual Identity)の話が多く“語句の統一”についてなど聞いたことがない。「この広告はあのコピーライター(あるいはあの広告会社)に」という暗黙の決 まりがある場合は多いが、「当社の広告・販促の全てはあのコピーライターに」などと決めている会社は、一定以上の規模になれば皆無であろう。なにしろ広告 会社を1社に絞ることすら希なのだから。ともかく、この2つのお話がどう着地するかは分からないが、以前より興味を持っていた分野(他社からも時たま「お かしいですよね」などという話題は出ていた)であるし、どんなスタイルであれ実現すれば極めて光栄である。

(1月7日)

●午年といえばJRAのCMが変わった。業界がなんと褒めようが、ここ数年のCMのコンセプトは、中学生時代から、あのヒカルイマイの2冠から競馬を見始 めている私にとって(競馬の楽しみが全く表現されていないという意味で)全く納得のいかないものだった。現実に売り上げも落ちていた。新CMは、競馬場が 舞台の現実感あふれるもの。こういうCMを早く出すべきだった。少なくとも人気低落直後に。ともかく去年のCMが余計だった。

(3月8日)
●「富永愛」というモデルの名を知っている方も多いと思うが、先週、JR四谷駅(他駅は未確認)でたまたま彼女のポスターが3枚同時に掲出されていた。 「RAYCIOUS」という化粧品と、「HUSH PUPPIES」という婦人靴と、「MISS」という女性誌である。「日経エンタテインメント」によれば、藤原紀香・松嶋菜々子を筆頭に、モデル出身でブ レイクしたタレントはみな“CMで水着姿を披露”と“ビールのCMに出演”を経験しているというが、もちろんこれに“クルマ”が加われば文句なく一流であ る。私の記憶では富永愛はまだ、この内のどれも経験はなかったと思うが、藤原&松嶋も同時に違うブランドで駅貼ポスター3点に出演したことはなかったと記 憶する。「富永愛」ますます注目である。

(3月22日)
●軒並み赤字決算で7年連続ベアゼロ、しかも不良債権問題で日本景気後退の矢面に立つ大手都市銀行。その内、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行 がこの4月1日に分割・合併し「みずほ銀行」「みずほコーポレート銀行」が誕生する。いまそのCMが盛んに行われているが、「Value Communication」などと相も変わらぬいかにも広告的なスローガンを恥ずかし気もなく掲げている。これだけ世の中の目の敵にされている都市銀行 の状況の中で、しかも事もあろうにペイオフの解禁日に合わせたこの合併劇を背景とする告知において、今までと何ら変わらぬ広告手法を脳天気に用いたこの CMに対し、「少しはちゃんと考えようよ! 仕事なんだから」と、私は声を大にして言いたくなる。制作費は一体いくらもらっているのだろう。恐らく当社に入るギャラとは比較にならない単位の制作費で ある。それでなぜ真剣になれないのか。一体、このCM制作者あるいはこのスローガンをCMに使おうと考えたディレクター、もしくはコピーライターは、いま このような言葉を聞き、見た消費者がどう思うか、考える頭脳を持っていなかったのだろうか? 平時でさえ虚ろに聞こえるこのステレオタイプな「Value Communication」という言葉を、いま寧ろお詫びをしなければならない立場の都市銀行がメッセージする厚顔無恥さ。広告マスコミは、なぜこのよ うな安易極まりない広告に対し、何も発言しないのか? こんな言葉、少なくとも私が行っている仕事の中では成立し得ない。私の貧しい経験においてさえ、もう少し世の中の企業は自らの置かれたポジションを把握さ れて広告を発信されている。私が店頭で感じている大手都市銀行の脳天気さ(例えば「いらっしゃいませ」という一言にもサービス精神が感じられない。いや、 むしろ見下ろしたような口調で宣う)は、明らかに幹部の鈍感さにつながっている。そう思わずにいられない今回のみずほフィナンシャルグループのCMであっ た。そして他ならぬこのCM案を提案し制作した広告代理店とクリエイターたちは、何を思ってテレビの画面を見つめているか、いま。何も思っていないとした ら、いや、もういい ●本日、ホテルオークラに取材に出かけた。まず、大手都市銀行の店頭に立つ中高年社員を、このホテルの新人研修に行かせるべきである。そして、そういうこ とを提案すべきなのも広告代理店であるべきである。くだらない広告を作るよりも。

バックナンバー
●クリエイターのコミュニケーション能力(1)
●広告雑感アーカイブ(4)
●広告雑感アーカイブ(3)
●CMへの悲鳴と皮肉
●「手紙」という広告
●政治広告の嘘
●広告雑感アーカイブ(2)
●広告雑感アーカイブ(1)
●「さ、」のリユース
●「スタッフの勝手な近況」から(8)
●「リライト」論
●“広告会社”という言葉への大いなる疑問
●CMキャラクターという架空
●ライターと呼ばないで
●「スタッフの勝手な近況」から(7)
●誰がアメリカの広告戦略を担えるのか
●広告と社会との関係
●こんな言葉を広告で見かけませんか?(2)
●私的「三点リーダ」論。
●店頭には責任を持たなくてよいのか?
●「スタッフの勝手な近況」から(6)
●エーペラ文化
●迷走する「広告の迷走」。
●こんな言葉を広告で見かけませんか?(1)
●「スタッフの勝手な近況」から(5)
●コピーライターという言葉
●イメージへの過信
●「スタッフの勝手な近況」から(4)
●コピーライターの性別
●いいコピーライターになるための50の条件
●「スタッフの勝手な近況」から(3)
●「ソリューション」の憂鬱
●自民党宮城県連のテレビCMへの異議申し立て
●「スタッフの勝手な近況」から(2)
●「現代広告の読み方」
●疑似表現について
●「スタッフの勝手な近況」から
●業界誌の広告観
●既成概念への配慮について
●広告スペースを選ぶ必要はないのか?
●チカラ(力)がただいま流行中
●広告批評の限界について
●“広告英語”の現在
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