私が発信している当Webサイト「今日の気になる言葉123」とブログ「いいコトバ」の2008年度更新分から、広告(業界)関連の話題をまとめてみました。
「マンスリー広告批評」向けに書かれたものではないので多少テイストは違いますが、見逃された方はぜひご覧ください。
※表現の領域まで踏み込んだコラムについては、社会的な視点を重視する本欄の趣旨と異なりますがご勘弁ください。“公には二流”のコピーライターとして、クリエイティブの視点からの評価は極力控えているつもりです。
※なお、ブログに併載している写真は省略しています。
■弊社WEBのコラム「今日の気になる言葉123」から。
「大ラフ
と呼んで
いる。」
と、広告制作でラフの前段階の大まかなラフを指すこの言葉を説明した昨夜の「ソロモン流」。“絵地図師”として人気上昇中の高橋美江氏の仕事の紹介でだ が、受動態(呼ばれる)と言わないとたまたま高橋さんがそう呼んでいると誤解される。専門用語はだから難しい。
●No.2801/08.12.22
「PLAY!」
いまこれに「年賀状」という言葉が付いてキャノン「PIXUS」のキャッチフレーズとして使われている。丸の内再開発のCMや第一興商の店頭キャンペーン のスローガンもこの言葉だ。東芝もインターネット関連媒体でplayをキーワードに使う。意外と使いやすい?
●No.2796/08.12.17
「広告会社。」
この言葉について私は「マンスリー広告批評」でその正当性に疑問を投げかけているが、本日、朝日新聞の校正担当の方と会い、広告代理店なる言葉が広告会社に訂正されている事実を知った。しかも部署の専門家が総じて理由に疑問を感じているらしい。正に安直の極み。
●No.2741/08.10.22
「カントリー。」
インテリアの通販にテイスト別の訴求が始まったのは私が盛んに通販カタログを担当していた20年前位からだろうか。アメリカ西部開拓時代のカントリーテイ ストの説明に、少なくともポップやエスプリなんて言葉は使わなかった。今はインテリアの言葉までいい加減だ。
●No.2700/08.9.11
「WEB
コンサル
タント。」
なる言葉を「宣伝会議」(8/1号)で発見。今頃? なんて思われますか(しかしそんな肩書きの名刺は頂いた事がない)。コピーの場合、紙媒体よりWEBは制約が少なくSEO対策を除くと大差ないのだが、WEB固有の技術は奥深く、この職務名も分からぬではない。
●No.2671/08.8.13
「頭金
ジェロ。」
またまたポスティングで分譲マンションのチラシ。最近は「頭金0円」の物件は多いが、こんな書き方は初めて。ダブつきが見られるマンション事情がここまで なりふり構わぬキャッチフレーズを誕生させたか。ちなみにボーナス返済、管理費・修繕費、駐車場代も、0円。
●No.2655/08.7.28
「プレミアム。」
なる言葉が広告・販促の分野で近頃やけに目立つ。Premierなら最高、最初などを指し、Premiumなら賞、割増などを指すが、いずれにしてもあと 少しで飽和状態になる危険水域に達しつつある。なんか、下町の布団屋さんの店頭でも見かけた気がするのだが。
●No.2652/08.7.25
「持った、
使った、
トクをした。」
ポスティングのチラシを受け手として見ると広告の無駄がよく分かる。本日手にした「出光カード」のリーフは、(コピーライターの自己満足でしかない)この 文言が目立ち過ぎ。なぜ今や意味のない「入会金・年会費0円」が一番先なのだ。カードの写真もなぜ大きい?!
●No.2650/08.7.23
「本日は
素晴らしい
晴れ模様で
ございます。
藤沢から
先もどうぞ
気をつけて
行って
らっしゃい
ませ。」
昨日乗った小田急江ノ島線快速急行で、終点・藤沢駅に着くと車内アナウンスからこんな言葉が聞こえてきた。3連休の初日で車掌さんも気を利かせたか。で も、実際ちょっと楽しい気分になれた。自慢話めいた交通広告を露出させるより現場のこんな工夫が一番だと思う。
●No.2647/08.7.20
「広告って
つまり
嘘みたいな
もの。」
企業のもうけたい欲求をオブラートに包むのが広告、と続けたタグボートの岡康道氏。「朝日新聞/杉山登志は終わらない」(6月22日)での述懐だ。見逃し たこの記事を杉山さんの同僚だった義父に見せてもらう。この言葉、半分は本当で半分は違う、というのが実感。
●No.2641/08.7.14
■ブログ「いいコトバ」から。
時間がかかった分だけ、
必ず人間は輝きます。
これは「私は不器用だから、他の人が2時間(バレエの)練習するところを、
10時間も15時間も練習してきた」と語る森下洋子さんの言葉です
(昨日の『朝日新聞』夕刊)。
当社が採用するスタッフは殆どが未経験ですが、1年間勤務した段階で給料分の
仕事ができなかった人間は一人もいません。時間は嘘をつかないというのは
真実です。森下さんは結果が出ない我が子の才能を見限る親をたしなめています。
世の中の不幸の多くは、実はこの根気のなさが原因なのではないか。
コピーライターの道を志し3年、全く自信が持てず灰色だった私はそう思います。
(2008.12.13)
何を伝えるかだけ考えりゃいいんだよ。
11月30日放送の「第25回『ATP賞テレビグランプリ2008』」。この言葉は、
この賞でグランプリを獲得した「ETV特集『アンジェイ・ワイダ 祖国ポーランドを撮り続けた男』」を制作したNHKのエグゼクティブプロデューサーが、
受賞挨拶で紹介したNHKの名プロデューサー、故吉田直哉さんの教えです。
この後「手法は後からついてくる」と続くこの言葉は、我々、広告業界も含め、全てのクリエイティブな世界に共通する真理ではないかと思います。
コピーの世界に「どう書くかより、何を書くか」というセオリーがあります。
書く前に、何を書くかを考えるかが必要。最近の政治家、成す前に考えてませんね。
(2008.12.5)
一筆申す 日の用心 お仙痩せさすな 馬肥やせ。
徳川家康の家臣・本多重次の有名なあの言葉は正しくはこのように
言います(『社長のためのスピーチ話材40選』)。
しかもこのお仙は、女の子ではなく重次の長男・仙千代のこと。
重次は、常に家来に「必要なことは紙一枚にまとめるように」と
命じていたそうです。広告の世界では、ずっと「そんなに長く書いても
読まない」という言い方で殆どが片付けられてきました。それが
インターネットの登場で揺り戻しがきているのが現在でしょう。
広告文には、長文が書ける力が試される時代が来るかもしれません。
(2008.11.27)
ゴミ箱の底が完全に見えるようにゴミを回収するのが
僕たち清掃係の仕事ですから。
徹夜明けの多美子(伊東美咲)がコーヒーをぬぐったティッシュをゴミ箱に
捨てた時、「やめて!」と言ったのは早番の清掃係・智之(瀬川亮)。この言葉は、
その理由を訊いた多美子に返した智之の返事です(濡れて剥がしにくいのだとか)
(今夜の『恋うたドラマSP/第二夜:元気を出して』)。
この言葉、仕事への誇りが伝わってきて清清しいですね。コピーライターの
仕事にも、「書く」行為から離れた地味な作業があります。でも、どんな
ことにも目的や充実感は見つかるものなのです。そんな時、誰もがきっと
多美子のこの最後の台詞を叫びたい気になる。「よーし、元気出していくか!」
(2008.10.8)
一語一絵。
コピーライターを生業とする人間にとっては正しく大御所として知られる
眞木準さんの作品集のタイトルです。眞木さんといえば、(言葉に二重の
意味を込める)ダブルミーニングのキャッチフレーズの名手として有名です。
「家庭で坊やを撮りましょう」とすすめたビクターの8ミリビデオの
「ボーヤハント」や、全日空'86夏の北海道キャンペーン「でっかいどお。
北海道」 なんてキャッチフレーズが、その類ではすぐ浮かびますが、
この書名も同じですね。でもいい言葉からいい絵が浮かぶ
というメッセージが一言で伝わる。単なる駄洒落との差は大きいのです。
(2008.9.20)
同じように修行すれば、
男も女も等しく悟れる。
佐々木閑・花園大学教授が釈迦の教えとして紹介している言葉です
(昨日の『朝日新聞』夕刊)。
つまり、釈迦の思想には男女差別はなかったというのです。
コピーライターの世界はもちろん実力が優先しますが、女性を軽く扱う企業担当者の話をまだ耳にします。本当に情けない。ただ私は、男と女の違いは意識すべ しという立場です。女性の成功者には2通りあって、「女」を十分に意識しながら「男」社会をさばいてきた方と、「女」も「男」もなく実力で渡り歩いて来ら れた方に分かれます。
もちろん自由なのですが女性の可愛らしさが余裕を感じさせる方に魅力を感じます。
(2008.8.8)