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広告雑感アーカイブ(7)

マンスリー広告批評〈10.12月〉

私が発信している当Webサイト「今日の気になる言葉123」とブログ「いいコトバ」の2010年度更新分から、広告(業界)関連の話題をまとめてみました。
「マンスリー広告批評」向けに書かれたものではないので多少テイストは違いますが、見逃された方はぜひご覧ください。

※表現の領域まで踏み込んだコラムについては、社会的な視点を重視する本欄の趣旨と異なりますがご勘弁ください。“公には二流”のコピーライターとして、クリエイティブの視点からの評価は極力控えているつもりです。
※なお、ブログに併載している写真は省略しています。

 

■弊社WEBのコラム「今日の気になる言葉123」から。

「今はコピーを書くこと自体は
 ずっと楽なものです。」
と仲畑貴志氏(『宣伝会議』11/1号)。「80年代のコピーライターブームの頃は人の心のひだに分け入っていくような感性に訴えるコピーが力を発揮」していたと語る。当時コピーライター見習いの立場だった私に実感はないが、皆「難しさ」と戦っている気がする。
●No.3495/12.12


「女性目線のコピー。」
と言われる度に納得がいかず反論する。(科学的にも)女性の方が男性より視野が広いのは百も承知だが、住宅設備や観光の仕事に「女性コピーライターがいい」と言うのは男女への偏見の持ち主ではないか。私は家事もこなすし何より日々生きているし、女性的面も多い。
●No.3490/12.7

※「目線」は日本語としておかしい、というご指摘を以前にいただいた。これはあくまである方の事例です。


「ストッパ下痢止め。」
だけではない、急性下痢のCM・広告が盛んだ。この症状は、以前からあったのに薬の開発が追いつかなかったのか、あるいは症状そのものが増加しているのか、広告よりも興味深い。現代人は胃の粘膜にも異常が生じているのか。神経が繊細になったとはとても思えない。
●No.3489/12.6


「肩がぶつかったら謝るのに、
 煙がぶつかっても謝らなかった。」
というJTのマナー広告のキャッチフレーズを本日見かけた。もちろんとてもよい取り組みだと思うし、間違ってもいない。ただ、いま日本人は「肩がぶつかっても謝らなくてよい」と考える層が増殖中なのは確かだ。むしろ煙を気にして手で掻き込む動作をよく見かける。
●No.3458/11.8


「忙しい人を、
 美しい人へ。」
というパナソニックの美容器具のキャッチフレーズがある。先日は某化粧品ブランドで"通勤時間を美しくなる有意義な時間"と捉えなおしたシンプルなお手入れ訴求があった。もちろん私だって朝は慌しいが、定時に帰る普通のOL達のどこがそんなに忙しいのかと思う。
●No.3439/10.10.17


「月光荘。」
という銀座にある画材・文具のお店の名を本日訪れた京都・一乗寺の「恵文社」さんで知る。創業90年で一度も広告をしない理由は「実際に商品を使ってみない事には、商品の本当の良さを理解してもらうのは難しい」から。だからこその広告ではあるのだが、一理あり。
●No.3432/10.10.10


「涙腺崩壊。」
というキャッチフレーズが帯に書かれた朱川湊人著「かたみ歌」を目にする。“セカチュー”ブームの頃からだろうか、「涙」を売りにする書籍が増えてきたように思う。最近、頓に涙もろくなった私にとって有難い話かもしれないのだが、出版社の利益源はいま、これか。
●No.3367/10.7.31

「コーヒーお代わり自由です。」
1週間の内にミスタードーナツの河内小阪店(大阪)と鶴ヶ島店(埼玉)に入店。いずれもコーヒーを頼んだのだが、こう付け加え実際にお代わりを注いでくれたのは後者だった。サービスはマニュアル化されたといっても結局は現場の「人」なのだ。もちろん広告以前に。
●No.3344/10.7.2


「なりたい自分へ。」
という某スポーツクラブのキャッチを見て「この類のアプローチは言い尽くされてますね」と打合せで言った数日後、原宿駅で全く同じ表現を某ブランドの広告で見た私が、妻に頼まれて作った「お店のメルマガに付けるキャッチ」は、着るたびにあたらしい私。変わらん。
●No.3343/10.7.1


「日本は普通の人が
 がんばれる国だ。」
なる民主党のCMのキャッチフレーズは不可解だ。「日本は」の後に「本来は」が省略されているか「日本を普通の人ががんばれる国に」ならまだ意味は分かる。ただ、いずれにしても「普通の人ががんばれる国」の意味が曖昧だし、実際日本は既にがんばれる国だと思う。
●No.3339/10.6.25

「めっちゃ
 メガ!!」
本日から独立後、初の大阪出張。JR環状線沿線で見つけたこのJR久宝寺徒歩1分の分譲マンション広告はいかにも大阪。「ええ買い物できたかぁ〜? また、きてやあ」はメディオ新大阪。大阪人が東京に来て東京を感じるのは「○○じゃん」なんてキャッチフレーズか。
●No.3338/10.6.24


「聴覚に訴えかける
CMに注目。」

と「ブレーン」(4月号)「CMの見られ方」。最近、以前に増して“商品キーワードを踊りと歌”で伝えるCMが多いと感じていたが、背景にはこんな傾向が。年代別のCM接触動向が掲載されていなかったが、テレビCMへの注目度はいま20代でどこまで低下したか。
●No.3335/10.6.10


「ひとつ上の豆乳。」
というネーミングの商品のコピーに「ひとつ上って、なにがちがうの? ひとつ上って、どんな味なの?」という表現が使われている。「ひとクラス上」「ひと味違う」などと共に広告表現の常套句ベスト10圏内だろう。でも具体的に書くのはやっぱり難しい「ひとつ上」。
●No.3300/10.5.6

「登戸で
 降りるつもりが
 本厚木。」
養命酒春バテ川柳より。新宿・箱根湯本間(その他2路線)を結ぶ小田急線での露出で東京ローカルの話題となり恐縮だが、登戸が前半で本厚木もつい乗り過ごしそうな間隔の絶妙な駅選択。字余りもなく日本文化を破壊する低水準の川柳・俳句が多い広告にしては面白い。
●No.3258/10.3.25


「あなたには、未来を
 変える力がある。
 未来は、変えることが
 できる。」
上段が代々木ゼミナール、下段が河合塾の、どちらも首都圏で現在露出中の交通広告のキャッチフレーズだ。同じ予備校が、いや正に予備校だからこその類似キャッチフレーズなのだが、同時期に同業種でここまで似通った表現が発信された例は恐らくなかった。関係者は?
●No.3250/10.3.17

「旬にこだわったネタ。」
なる山手線液晶モニター広告内の表現に異を唱える方は少数派だろう。当社は制限がない限り「拘泥する」意味以外の「こだわる」を禁じるがそれもここではいい。問題はこれが旬と密接に結びつく鮨店の広告という点。デザインにこだわったデザイン会社と同じ陳腐さだ。
●No.3249/10.3.16

「雨の日曜日。」
だなと思ったら、ふと「雨が降ってる日曜日 坊やどろんこなぜ泣くの? あそこの角でころんだの」という明星のインスタントラーメンのCMを思い出した。ただインターネット検索しても個人ブログの情報ばかりで広告史の公的情報は極めて少ない(これも老後の課題か)。
●No.3240/10.3.7

「爽やかな酸味と軽いコク。」
会社近所の某店でコーヒー豆を買う際に、こう商品説明された「ケニヤ」を試飲。確かに酸味が多少ありうまかったが、そもそも「コク」とは濃厚な旨味を指す。その場合「軽いコク」とはいかなる味か。意図する事が分からぬでもないが矛盾がある。旨味が薄くては困る。
●No.3231/10.2.26


「タイル」
メーカーの仕事で資料を読んでいてこの言葉の語源を発見。敷き瓦、腰瓦、壁瓦、化粧瓦などと地方毎に呼ばれていたのを1922(大正11)年に英語のTileから「タイル」に統一したらしい。現代は逆に1つの言葉が定義も曖昧なまま様々な意味に使われる時代か。
●No.3229/10.2.24

「TUGBOAT 10Years」
なるキャッチフレーズで自社設立10周年を本日の「朝日新聞」全30段で広告した広告制作会社(株)タグボート。電通でさえ朝日の30段広告を自ら出した事があっただろうか。「クリエーティブエージェンシー」の名を広め未踏の広告の世界を進む彼らに心から敬服。
●No.3222/10.2.17

「電話で道を訊くと、
さらに混乱する。」

とゼンリン携帯ナビの車内広告。昔、広告学校に通っていた頃「虎ノ門駅から教室のあるビルまで道案内をする」という課題が出た。混乱させず普通の事を普通に分かりやすく説明できたらコピーライターは一人前なのだ。当社の仕事の多くはその分野の需要のためにある。
●No.3215/10.2.10

 

 



■ブログ「いいコトバ」から。

LIFE IS SHORT.                          
PLAY HARD.

コピーライターの神谷幸之助さんが、リーボックのバスケットボール シューズの86年のキャッチフレーズを紹介しています
(『ブレーン』9月号)。
このPLAYという言葉、広告文としてはバスケットボールのプレーになる のでしょうが、「人生は短し、思い切り遊べ」なんて意味にも取れるし、 STUDY HARDに変えれば、立派な予備校のキャッチフレーズにもなります。 いいコトバ的に多少、人生の悲哀を込めれば、LIFE IS SHORT.

DON’T WORRY FOR LONG. 人生は短い、いつまでも悩むな。
(2010.10.14)


ジャンケンやクリスマスを生み出した
最初の人になりたい。

この言葉、さすがいま広告業界で最も注目を浴びる一人である 森本千絵さんだなと思いました
(『コマーシャルフォト』10月号)。
「クリスマスはすごいキャンペーンですよ。あのくらい生活の中に入っていく デザインは素晴らしいですね」と語るのは、自らが手がけるキャンペーンを クリスマスと同列に扱っているということですから、その意気込みの凄さは 超人的です。私にも「新たな文学ジャンルを創る」という夢があるのですが、 ちっとも真剣じゃないからダメ、です。
(2010.10.9)

むずかしいことをやさしく                          
やさしいことをふかく                             
ふかいことをゆかいに            
ゆかいなことをまじめに 書くこと
9日に亡くなられた井上ひさしさんの座右の銘を11日の「ニュースウォッチ9」で 紹介していました。実際の色紙を見ると「書く」以外のすべてが平仮名です。
この言葉、コピーライターの仕事そのままです。特に「むずかしいことを やさしく」書ければ一人前です。専門用語を並べなければ表せないような内容や、 自然科学や電気のメカニズムを分かりやすく書くのは本当に難しい。あるいは、 「やさしいことをふかく」書く時は、いかに違う視点を加えられるかが大切。
「ゆかいなことをまじめに」書くのも、視点を変えて愉快さを見つめなければ。

一番難しいのは「ふかいことをゆかいに」でしょうか。哲学を愉快に語る。難しそう。
(2010.4.23)



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