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広告雑感アーカイブ(9)

マンスリー広告批評〈14.7月〉

私が発信している当Webサイト「今日の気になる言葉123」とブログ「いいコトバ」の2012年度更新分から、広告(業界)関連の話題をまとめてみました。 「マンスリー広告批評」向けに書かれたものではないので多少テイストは違いますが、見逃された方はぜひご覧ください。

※表現の領域まで踏み込んだコラムについては、社会的な視点を重視する本欄の趣旨と異なりますがご勘弁ください。“公には二流”のコピーライターとして、クリエイティブの視点からの評価は極力控えているつもりです。
※なお、ブログに併載している写真は省略しています。

 

■弊社WEBサイトのコラム「今日の気になる言葉123」から。

「缶詰30%割引。」
なる近所のスーパーの店頭セールのカードを見て、ここに缶詰レシピの本を置けばいいのにと思った。先日訪れた某私大内の書店では缶詰関連の書籍フェアが行われていた。我が家でも時折“缶詰料理”を作る。缶のイワシをとき卵でとじネギをかけて丼にすると美味しい。
●No.4057/11.9


「ただいマツタケ。
 おつかれサンマ。
 いただきんむぎ。」
ご存知、「サントリー金麦」車内広告の、3つ並んだキャッチフレーズだ。檀れいの魅力も加味されて上手なブランドイメージ構築が行われているため、こんな遊びの言葉までが生きてくる。秋の味覚を金麦で、という趣向だが秋の味覚の一つに金麦が加わった印象である。
●No.4053/11.1


「オダディ。
 キュー⇔ムスメ。」

と題する表裏両面表紙の小田急電鉄の冊子が面白い。(小田急線の起点・新宿にある)文化学園大学プロデュースで父世代、娘世代それぞれに対する「ココがイヤ」から始まり、両者の良好なコミュニケーションを支援する流れが楽しい。丁寧な編集に、思わず読み耽った。
●No.4051/10.30


「あゆゴPAPER。」
なる「あゆみBOOKS五反田店」が発刊するフリーペーパーのVol.2を発見。文庫・ビジネス書・実用書など各売場の担当者おすすめの本から、リレーエッセイまでこぢんまりと楽しい。昔、早川義夫さんが営む書店発行のフリーペーパーに寄稿したのを思い出した。
●No.4046/10.24

「姫柊。」
本日、近所の花屋さんで見かけたヒメヒイラギは「常緑樹で1年中、緑が楽しめます。耐陰性もあるので日当りの悪い場所でも育ちます」と店頭のカードに。ネット検索すると友人のいる奄美大島特産とあり、ますます親近感がわく。でもこの季節にこそ似合うから不思議。
●No.4044/10.21


「編集手帳。」
といえば読売新聞一面のコラムだが、昨日、ポストにこのタイトルの冊子が入っていた。赤ちゃんの写真に「五百字に今日を刻む、読売新聞の朝刊コラム」とあり、4編のコラムがイメージ写真と共に配される。同じ趣旨の広告もあったが、真っ当で魅力的な販促だと思う。
●No.4042/10.17


「英語ではなく、
 コミュニケーションを学ぶ、
 と考える。」

とはCOCO塾の広告キャッチフレーズ。(経験者として)確かにそうした側面は認めるが、英会話学校の場合、教師の方からコミュニケートしてくるのでコミュニケーションが下手でも英語が上手ならコミュニケーションできる。「英語ではなく」は誇張し過ぎだと思う。
●No.4038/10.11


「香るバブル。」
のキャッチフレーズを使った「モイスト・ダイアン(ボディソープ&ミルク)」。「バブル」は、もちろんバブル崩壊後数年間は使えなかったフレーズだろう。ターゲットも考慮した上で使える、と判断したに違いない。ただ「進香した」という駄洒落はやり過ぎだと思う。
●No.4025/9.17


「フツーじゃ見えない
 世の中が
 あります。」

いまを流行りの剛力彩芽をキャラクターに、こんなキャッチフレーズでアピールしてくる「雑誌愛読月間」の広告。売れなくなってきた雑誌の現在を伝える言葉がこれでいいのだろうか。フツーじゃない、という区分けが果たしてインターネット相手に通じると思ったのか。
●No.4001/8.19


「スクランブル。」
という言葉と、あるコピーを考えていて出合う。軍事用語では「緊急発進」を意味するが、この名が付く交差点も、卵料理もある。3者の関係性は分からないが、発動される際と青信号で渡る際と卵をかきまぜる際にある種の緊張感がある点が似ているな、などとふと思う。
●No.3963/6.20

「活〆。」
は一般的には「いきじめ、いけじめ」と読むが、「てんや」は穴子天丼(780円)のポスターにわざわざ「かつじめ」とルビを振る。いずれにしても少し残酷なこの方法に一般的な読み方の印象は悪かったのだろう。まっ、広告は何と読ませようと自由な無法地帯だから。
●No.3962/6.19

「35歳、おしゃれも、
 人生も白黒ハッキリ
 つけます。」

いつも気になる「Domani」のタイトル、7月号はこれ。「潔白『白』ワンピースvs腹黒『黒』ワンピース」をはじめ、あらゆる企画をテーマに無理やりこじつけるところが、いかにも広告っぽく、編集者の苦労が手に取るように分かる。井亀真紀編集長に興味津々。
●No.3961/6.18

「昆辞苑。」

という開封部のあるシールが貼付された(株)くらこんの塩昆布を購入。シールを開けると「目からうろ昆」とあり「驚きの味にびっくりすること」と説明がある。さらに裏面にはレシピが付くが、このタイトルが「塩こん部長のチーズトースト」。この意気込みは楽しい。
●No.3953/6.9

「モーレツ。」

と言って「いま台風のときしか使いませんね」と山本志保アナ(本日の『世の中面白研究所』)。小堺一機氏が即座に「オー、モーレツなんてあった」と言ったが、この丸善石油のCMも遠く去ったいま、確かにこの言葉は死語化の過程にあるか。"猛烈価格"って見ない。
●No.3914/4.16

「When the night has come.」
And the land is darakで始まる「Stand By Me」の切ない歌詞が、青空の下を家族で走るホンダ・ステップワゴンのCMソングに似合うとは思えないのだが。単になじみのある曲だから、みんな英語なんて分からないから使った、とは思えないのだが。
●No.3913/4.14

「日本のおいしい食卓へ。」
なるキャッチフレーズで家庭に広がるコンビニ食を訴求するセブンイレブンのCMは痛々しく見ていられない。これは家庭料理を半ば否定している。もちろんデータがないため栄養価比較はできないが利便性の代わりに母親手作りの料理が消えた日本社会がいいはずがない。
●No.3878/3.10


「いいものを長く使う。
 それが本当のエコ。」

フォルクスワーゲンによるロングバリュー キャンペーンのCMのキャッチフレーズだ。このメッセージはいい。しかし、ナレーションでなぜこの「エコ」を平板読みするのか。長く使われてきた日本語の発音には興味がないらしい。アクセントへの配慮に欠けたCMは多い。
●No.3873/3.5

「男性から女性へ
 花を送る2月14日。」

というキャッチフレーズのポスターが近所の花屋の店頭に。3月14日の激戦を避け、いきなりチョコレートのお返しを済ませてしまう作戦だが、10年秋に「フラワーバレンタイン推進委員会」が発足していたとは知らなかった。確かにお返しの日はいつでもいいはずだ。
●No.3858/2.12

「ありがとうを伝えよう!」
は近所のスーパー店内のフラッグに記されたバレンタインデーのキャッチフレーズ。伝えるのは最早「愛」ではない。この店は神奈川郊外の住宅街に位置するが、地域特性や施設、あるいはブランド別に何を伝えるかを分析したら、現在の告白の状況が見えるかもしれない。
●No.3856/2.7

「あなたもGKB47宣言!」
なる「自殺対策強化月間」のキャッチを「日本経済新聞」25日朝刊/春秋で揶揄。“ゲートキーパー(自殺の兆しに対処する人)ベーシック(土台とする)47(都道府県)”の略だが、私の経験では不謹慎な表現の範疇だ。AKB48にあやかりたくて調子に乗ったか。
●No.3845/1.27

 


■ブログ「いいコトバ」から。

みち、今だ半ば。

峰竜太さんが披露した「浅草今半」の企業スローガンです
(10月6日の『出没!アド街ック天国』)。
この店名に、そんな“名言”が隠されていたとは
知りませんでした。恐らく、商いに完全はない、という
意味なのでしょう。だから、どこまで行っても、常に
道の半ば。努力を怠らない姿勢を示した
見事なネーミングと理念ですね。

人間、死ぬまで、みち半ば。

否定は価値を増やさない。

だから東京糸井重里事務所では、他者の提案を単に否定するのは 禁止で、必ずプラスのアイデアを出すのだそうです
(6月18日の『日本経済新聞』朝刊/春秋)。
また、街の再生を手がける山崎亮さんの「まちの幸福論」では、 「Yes,and・・・」という発想が語られているそうです。
つまり「No」と否定するのではなく「Yes」と肯定して、さらに プラスのアイデアを加えるのは糸井さんの発想と同じですね。

それに引き替え、テレビに出る人たちは否定、否定、否定です。

新品よりも正確に。 
人生は時間そのもの。

アンティークウォッチの「ファイヤーキッズ」店頭に 掲げられていたメッセージです。
(6月9日の『出没!アド街ック天国』横浜 六角橋商店街)。
1行目は商売柄、当然ですが、2行目はなるほどと思わせる 一言です。確かに人生とは、つまるところ時間をいかに使うか、 時間をいかに思うかに集約される、のかもしれません。

そして、「いいコトバ」的に言えば、最も大切なのは、 いまこの時間です。

一番のクリエイティブディレクションは  
何もしないことである。


広告界で言われるこの言葉に、箭内道彦さんは「箭内さん だったら」とスタッフが気にとめながら、自分がいなくても 頑張る状況こそ「究極のディレクション」と語っています (『ブレーン』3月号)。
その箭内さんの場合、「もし(忌野) 清志郎さんがいたら、この 仕事を見て何て言うんだろう」と、いつも考えるのだそうです。 つまり(制作の指針を示す)クリエイティブディレクションとは、

その人が不在でも影響力を及ぼすこと、と箭内さんは言うのです。

喜ぶ人の顔を思い浮かべて
いきいきしているのが素敵な自分だと思う。


それがあなたの仕事なんですよね。そう続けたのは、 糸井重里さんです(2月26日の『朝日新聞』朝刊/仕事力)。
糸井さんの肩書きは、いまもコピーライターと書かれることが 多いですが、(株)東京糸井重里事務所は、よい品を、書籍を、 情報を発信する、これまでにない会社になりました。この言葉は、 読者に向けられてはいますが、糸井さんの会社の原動力ですね。

「あの人を喜ばせてみよう」。そこから仕事は動き始める。敬服。

また絆ですか。

取材先の百貨店担当者に、ついそう言ってしまったのは 朝日新聞の高重治香記者です (1月17日の『朝日新聞』朝刊/記者有論)。
高重さんは、2011年の漢字にも選ばれた「絆」を販促のキーワードに 使い、高額品やお歳暮・おせち・福袋を売りまくって「絆消費」と もてはやされた時世を痛烈に批判します。かく言う私とて「絆で考えて ください」と打合せで何度言われたか。私も軽薄に手を貸したのです。

こたつと土鍋で「家族の絆」。最後は政治も「きづな」を安売りした。

楽しそうならすぐに飛び込め。


そう語ったのは、“体験ギフト”を日本に根付かせた西村琢 ソウエクスペリエンス株式会社代表取締役社長です (1月16日の『朝日新聞』朝刊)。
西村さんは、大学を卒業し毎日、ネットサーフィンをするなかで、 乗馬やクルージングなどの体験をカタログにした“体験ギフト”を 英国のサイトに見つけたのです。商品開発の苦労を「面白い」と 語り、そうした仕事に人を巻き込むことが楽しいと言うのですが、

いずれにしても仕事は楽しまなくちゃ、いけません、ね。



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